重質油の開発技術

原油は多様な炭化水素の混合物となり、軽質油や重質油に分類されている。重質油は世界的に軽質油の残存可採埋蔵量に匹敵し、開発価値が高いと考えられている。また、開発コストを下げ、重質油を地下から最大限回収することは、石油業界共通の課題である。かつては、重質油の開発においての経済性は良くないと言われていたが、開発技術の進歩などによって、現在では、重質油の開発が行なわれるようになっている。

重質油の回収方法には、加熱攻法(水蒸気刺激攻法、水蒸気攻法、SAGD攻法、油層内燃焼攻法、VAPEX攻法、ポンプ電熱攻法)と非加熱攻法(水攻法、化学攻法、微生物攻法、ガス攻法、HOCPT攻法)がある。

水蒸気刺激攻法(水蒸気圧入法)は、地上に設置されたボイラーによって水蒸気を発生させ、生産坑井を通じて地下の重質油油層に圧入するものである。具体的には、生産坑井に水蒸気を圧入した後、一定期間密閉し、重質油を温めて溶かして生産する方法である。このような圧入・密閉・採掘の過程を1つの開発周期として、作業が繰り返される。

水蒸気攻法は、地上に設置されたボイラーにより発生させた水蒸気を、圧入坑井を通じて油層に圧入して、生産坑井から重質油をとる方法である。より具体的には、水蒸気攻法では、いくつかの生産坑井と圧入坑井を開発ブロックとして組み合わせ、圧入坑井から水蒸気を油層に圧入し、加熱溶解した重質油を凝結した水とともに流動化させて、生産坑井から採取する。

SAGD攻法(Steam-Assisted Gravity Drainage)では、二本の水平坑井(圧入坑井は生産坑井の上にある)が用いられ、上側の水平坑井から水蒸気を圧入して重質油を溶かし、水蒸気の熱を得た原油が重力によって下方に流れ、それを下側の水平坑井から回収する。また、SAGD攻法はとして、垂直坑井と水平坑井との組み合わせる方法もある。この場合、垂直坑井によって水蒸気を注入し、水平坑井から原油を生産する。

油層内燃焼攻法(火攻法)は、圧入坑井から空気(または酸素)を油層に圧入し、地下の原油の一部を燃焼して非常に高温の熱エネルギーを発生させることによって、重質油の流動性を改善する方法。

VAPEX攻法(VAPOR EXTRACTION)は、有機溶剤(例えばプロパンやブタンなど)を油層内に圧入し、二本の水平坑井(圧入坑井が生産坑井の上)を用いる方法。

ポンプ電熱攻法は、ポンプに電流を流して、重質油を加熱する方法である。

水攻法は、油層内に水を圧入して原油を押し出して採油する方法である。水攻法による原油回収は、大規模生産を可能にし、しかも経済性を備えている。

化学攻法は、薬剤の水溶液を油層に圧入して回収率を上げるという方法である。使用する薬剤によって、界面活性剤攻法、ポリマー攻法、アルカリ攻法などに分類され、採収率向上の原理もそれぞれ異なる。

微生物攻法では、目的微生物などを地下の油層内に圧入して増殖させ、各種の生成物を代謝させることにより、重質油を流動させ、回収率の向上を図る。

ガス攻法は、油層内への圧入体がガス体(CO2、天然ガスなど)である。

HOCPT攻法(Heavy Oil Cold Production Technology)は、流動性がある油層に対し、ポンプを使って、そこにある砂の除去を促進し、砂の除去で油層を変形させることにより、高浸透率チャンネルを形成して、重質油の流動性を高める方法である。また、HOCPT攻法は、CHOPS攻法(Cold Heavy Oil Production with Sand)という呼び方もある。